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K.E.Ariesは、漢字書体「龍爪」に対応する欧字書体として制作した。制作の参考にしているのは、フランス人の印刷者ニコラ・ジェンソン(1420?−1481)が製作した活字が用いられている『博物誌』(1472年)のこのページである。

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制作にあたって、ここにあるだけのキャラクターを抜き出して、アウトラインをなぞってみた。Monotype Centaur、Adobe Jenson など既存の復刻書体を参考にしながら、不足のキャラクターも含めて制作していった。Monotype Centaurはブルース・ロジャース(1870−1957)、Adobe Jenson はロバート・スリムバック(1956− )によって設計された、ジェンソンのローマン体の復刻書体である。

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●『博物誌』(1472年)と「K.E.Aries」の比較

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こうして制作したK.E.Aries を、新しく制作している「陳起」にも組み合わせようと考えている。「龍爪」も「陳起」も宋朝体なので、欧字書体はヴェネチアン・ローマン体と合わせることにしたのだ。「陳起」に組み合わせるのにあたって、日本語フォントのなかの欧字書体だということを意識しながら、全面的に見直している。ウエイトやハイトはいいとしても、特にレタースペースが問題となった。和字書体とのバランスを考えたとき、少しタイトになりすぎているように感じるのである。また、ベースラインの位置も再検討しなければならないだろう。
同じ K.E.Aries でも、「龍爪」から「陳起」へと組み合わせる漢字書体が変わることにより、当然のことながら見直しが必要である。いずれ「龍爪」にも機会を見てフィードバックすることになるだろう。

以下、レタースペースとベースラインを調整する作業である(作業中の画面)。

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by imadadesign | 2016-02-21 14:59 | 書体雑記帳[欧字書体] | Comments(0)

日本語フォントのなかにも欧字書体がある。これも制作しないわけにはいかない。漢字書体、和字書体が過去の優れた活字書体(もしくは書字・刻字)を再生してきただけに、欧字書体も同じ考え方をしようと思い制作をはじめた。
漢字書体「志安」に対応する欧字書体は K.E.Libra である。漢字書体が元朝体なので、欧字書体はイタリック体と合わせることにしたのだ。制作の参考にしているのは、アントニオ・ブラドーがルドヴィコ・デリ・アリッギの制作した活字を用いて印刷した『Vitasfortiae』 (1539年) のこのページである。

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ここにあるだけのキャラクターを抜き出してみることから始めた。ご覧の通り、ちいさなタイプサイズから拡大したので、エッジがシャープでない。これだと解釈の幅が大きくなってしまい、過去の復刻書体とイメージが違ってしまうことが懸念された。

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そこで、Monotype Blado、Centaur Italic、Adobe Poetica など既存の復刻書体を参考にすることにした。なかでもCentaur Italic をおおいに参考にしたのだが、最初の試作の段階では結果的に強く影響を受けすぎてしまった感があった。試作していたものとは大幅に変えなければならなくなり、全面見直しを始めた。

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とくに意識したのは、日本語フォントのなかの欧字書体だということである。まず傾斜角度。もともとの参考図版では大文字は正体だったが、小文字に合わせて斜体にした。傾斜角度も参考図版の小文字にあわせた角度とした。
小文字は、参考図版よりも少し広めの方向で設計した。これは和字、漢字と混植することを前提にして、参考図版に合わせると少し黒めに見えるからである。同様に、サイドベアリングもやや広めにして、明るく見えるようにした。

●『Vitasfortiae』 (1539年) と「K.E.Libra」の比較
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以下、最初の組みテストである。ここから調整を繰り返しながら完成へともっていくことになる。その第一ステップだ。

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日本語フォントのなかの欧字書体では英語だけではなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語などのヨーロッパ各国語が組める。代表的な言語でテストしてみた。それぞれの言語は翻訳ソフトによるものなので、正確ではないかもしれない(自動的に翻訳されたままのテキストで、組版としての調節は何もしていない)。イメージとしてみるだけである。

キリル文字、ギリシャ文字は、日本語フォントではプロポーショナルの文字は必要ない。文章を組んだ状態で検討したいという制作上の都合で、この組見本を作成してみた。ギリシャ文字に至っては、アクセント符号付の文字を制作していないので、適時ほかの文字に差し替えている。

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なお、日本語書体としてのキリル文字、ギリシャ文字は全角の記号用なので、キリル文字の小文字は試作したイタリックではなく、正体の書体を単に斜体にしただけのものにする。ちなみにギリシャ文字は正体の書体であってもイタリックになる。
by imadadesign | 2015-09-02 15:24 | 書体雑記帳[欧字書体] | Comments(0)

「黄道十二宮」に因んで

欧字書体にはすでに豊かな活字書体群があるが、和字書体、漢字書体と組み合わせて使用するためには同じように再生する必要がある。そこで、やはりヨーロッパの書物に取材して、これから12書体を制作することにした。
 これを西洋占星術の『黄道十二宮(The signs of the zodiac)』から「欧字書体十二宮」とした。
 獣帯(zodiac)とは、天球上の黄道を中心とした、惑星が運行する帯状の領域をさす。宮(sign)とは、西洋占星術において獣帯を12等分して得られた区画であって星座そのものではないが、12星座の名称がつけられている。
 とくに西洋占星術とは関係があるわけでも興味があるわけでもないが、星座の名前が12書体とぴったりきたので、「欧字書体十二宮」と呼ぶことにした。

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( 暫定版 2016年2月15日更新)


ヴェネチアン・ローマン体
K.E.Aries (資料:『博物誌』(1472年)より)

イタリック体
K.E.Libra (資料:『Vita sfortiae』(1539年) より)

オールド・ローマン体(イタリア・フランス)
K.E.Taurus (資料:『ミラノ君主ヴィスコンティ家列伝』(1549年)より)

オールド・ローマン体(オランダ・イギリス)
K.E.Gemini (資料:『The Diary of Lady Willoughby』(1844年)より)

スクリプト体
K.E.Scorpio (資料:『活字書体見本帳』(フライ・アンド・スティール活字鋳造所、1795年)より)

トランジショナル・ローマン体
K.E.Cancer (資料:『田園詩と農事詩』(1757年)より)

モダン・ローマン体
K.E.Leo (資料:『チメリオ・ティポグラフィコ』(1990年 復刻版)より)

20世紀ローマン体
K.E.Virgo (資料:『アメリカ活字鋳造会社活字書体見本帳』(1906年)所収の組み見本より)

スラブ・セリフ体
K.E.Pisces (資料:『印刷活字総合見本帳』(ファン・ストリート活字鋳造所、1857年)より)

サン・セリフ体(19世紀)
K.E.Sagittarius (資料:『Neue Grafik』(1958年)より)

サン・セリフ体(ヒューマニスト)
K.E.Capricornus (資料:『ザ・フローラン』(1930年)より)

サン・セリフ体(ジオメトリック)
K.E.Aquarius (資料:『フツーラ書体見本帳』(バウワー活字鋳造所、1927年)より)

ブラック・レター体
K.E.Ophiuchus (資料:『42行聖書』(1455年)より)
by imadadesign | 2014-07-28 08:44 | 書体雑記帳[欧字書体] | Comments(0)