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ふたつの展覧会をめぐって

「漢字の歴史」展(1989年2月10日—2月21日)は、東京有楽町アートフォーラムで開催された。主催は大修館書店と朝日新聞社。写研が協賛していたこともあって、私もオープニング・パーティーに出席させていただいた。
 熹平石経、開成石経(拓本の写真)などとともに、四川刊本『周礼』(写真)が展示されていた。写真の展示だったので、さほど注目してはいなかった。そのときには、この書体を復刻するということまでは考えもしなかったが、なんとなく気になっていた。図録を買い求めて、ときどき眺めていた。

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あれから10年以上経ったころ、中国における碑刻書体、刊本書体、近代活字書体のなかから24書体を選んで、デジタルタイプとして再生しようと思い立った。そのなかに四川刊本『周礼』から再生した「成都」を入れた。もちろん「漢字の歴史」展の図録を資料として、試作したものである。


静嘉堂文庫美術館で開催された「静嘉堂文庫の古典籍 第5回 中国の版本—宋代から清代まで—」(2005年2月19日—3月21日)という展示があった。
 私が訪れた展示前期(2月19日—3月6日)には、南監本『南斉書』や『欽定古今図書集成』などが展示されていた。私は見逃してしまったが、展示後期には藩本『楽律全書』や毛氏汲古閣『殊玉詞』(『宋名家詞』のうち)などが展示されていたようだ。

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前期・後期を通じて展示されていたのが四川刊本『周礼』であった。「漢字の歴史」展から16年ぶりの再会であった。しかも今度は実物である。来場者が少ない時間帯だったので、ガラス越しではあるが、ずっと立ち止まってじっくりと見ることができた。
 実物を見て、あらためて四川刊本『周礼』の魅力が増してきた。とくに「竜の爪」といわれる収筆部の強さ。再会をきっかけとして、この書体を商品化しようと強く思った。当初「成都」と呼んでいたのを「竜爪(のちに龍爪)」と変更した。

2008年7月。日本語書体「さきがけ龍爪M」、「もとい龍爪M」、「かもめ龍爪M」として発売した。最初の出会いから20年ちかく、再会してからは3年半後のことであった。
by imadadesign | 2014-08-01 08:24 | 書体雑記帳[漢字書体] | Comments(0)